「進捗は出せるようになった。でも、そこから詰められる。」
営業企画や事業推進の現場では、こんな瞬間がよくあります。
会議で全体の進捗表を出したあと、
上司から「で、どこがボトルネックなの?」と聞かれて言葉に詰まる。
数字は集計できている。
でも、その数字の“意味”を伝える設計になっていない。
僕もこの壁に何度もぶつかりました。
この記事では、KPIを整理して「説明できる進捗表」に変える方法を紹介します。
KPIとは「指標」ではなく「物語」である
KPIは“数字”ではなく、“過程の物語”です。
それぞれの数値には、「なぜ」「どうやって」が隠れています。
たとえば営業組織では、こういう流れになっています。
- KGI(最終目標):売上1,000万円
- KPI(過程の指標):商談件数、受注率、単価、見積提出数
KPIを追うとは、「どの要素が成果を生むか」を分解して把握すること。
Excelでできることは、その構造を“見える化”することです。
七段活用②:「KPIを問われて詰められる」段階
前回の記事で扱った「進捗がつまずく」段階を抜けると、
次に訪れるのがこのフェーズです。
・全体進捗は出せるようになった
・でも、どこが問題か説明できない
・数字が“報告のため”になっている
僕も当時、「進捗表を出したのに、また詰められるのか…」と思っていました。
けれど原因は、進捗表そのものではなく、KPIの構造設計にありました。
KPIを設計するための3つの視点
- 全体の構造を分解する
→ KGI(売上)を構成する要素を、分母・分子の関係で洗い出す。
例)売上 = 商談件数 × 受注率 × 単価 - Excelで再現可能な単位に落とす
→ 「1案件あたり」「担当者ごと」「ステータス別」にデータを構成する。 - “詰められない”説明設計を作る
→ 数字だけでなく、進捗の背景(件数推移や見込み)を一目で出せる表にする。
実践例:ExcelでKPIを可視化する
次のような表を想定します。
| 担当者 | 商談件数 | 受注件数 | 受注率 | 平均単価 | 売上合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 田中 | 20 | 5 | 25% | 400,000 | 2,000,000 |
| 佐藤 | 15 | 6 | 40% | 500,000 | 3,000,000 |
| 鈴木 | 25 | 8 | 32% | 450,000 | 3,600,000 |
- 受注率 = 受注件数 ÷ 商談件数
- 売上合計 = 受注件数 × 平均単価
これをピボットテーブルで部門別・月別に可視化すると、
「どの要素が結果に効いているか」が見えてきます。
📂 テンプレート配布(次回予定)
Gridder_KPI可視化テンプレート_基本版.xlsx
KPIが“報告”から“会話”に変わる瞬間
Excelの表が生きるのは、
“報告のため”ではなく“会話のため”に使われたとき。
数字を出して終わりではなく、
「この数字は何を示しているのか」「次にどんなアクションを取るべきか」
という議論のベースに使えるようになると、進捗表の価値が変わります。
KPIの目的は“詰められないようにすること”ではなく、
詰められずに次を動かせること。
Gridderとしての考え方
僕はExcelを通して、「数字には物語がある」ことを学びました。
どんなに泥臭くても、数字を整理することで成果が変わる。
KPIを整えることは、
チームの努力を“可視化して認める”ことでもあります。
Gridderは、そんな“努力の見える化”を続けていきます。
あなたのExcelが、チームを動かすストーリーを描けるように。
次回予告:七段活用③「KPIを分解して説明できる」へ
次回は「KPIを設計できるようになったが、詳細分析で止まる」フェーズを解説します。
Excelで“数字の分解力”を鍛える、少し踏み込んだ内容です。


コメント