これまでの六段活用を通して、現場データを集め、整え、分析し、未来を描くところまで来ました。
最終回となる今回は、「現場の数字」と「PL(損益計算書)」をつなげる方法を扱います。
Excelを単なる集計ツールとしてではなく、経営の言語として扱えるようになると、あなたの価値は大きく変わります。
七段活用⑦:PLとの連動に至るフェーズ
① 進捗がつまずく
② 全体の進捗が出せるようになる
③ KPIを問われて詰められる
④ KPIを分解して説明できる
⑤ 詳細分析が求められる
⑥ 着地見込みを問われる
⑦ PLとの連動に至る ← 今回
最終段階で求められるのは、「現場の動きが利益にどうつながるか」を示すことです。
ここがつかめると、月次会議でも、事業企画でも、上層部との議論でも、発言の重みが変わります。
PLと現場指標がつながらない理由
多くの企業で共通する問題があります。
- 現場は「件数・率・単価」を追っている
- 経営は「売上・原価・販管費・利益」を見ている
この2つが別々に存在してしまっているのが問題の本質です。
本来は、次のように一本道でつながる構造になっています。
件数 × 率 × 単価
↓
売上・粗利
↓
PL
つまり、PLは「遠い世界の数字」ではなく、現場の積み上げの結果なのです。
Excelで“つながる構造”を作る方法
ExcelでPL連動を作るときのコアは、次の3点です。
① 指標の「定義」を統一する
売上、粗利、営業利益の定義が人によって違うと、議論が噛み合いません。
Excelの設定シートに明文化しておくのが最も安全です。
② 現場データ → PL項目への一致点を作る
具体例:
- 売上高 = 商談数 × 受注率 × 平均単価
- 粗利 = 売上高 × 粗利率(または 売上 − 原価)
- 営業利益 = 粗利 − 販管費
この変換ロジックを Excel の計算式で持つことで、現場の変化 → PL への変化が説明できるようになります。
③ 着地見込みをPL形式に“写像”する
前回の記事で作成した「着地見込み」を、そのままPL形式に配置していきます。
【PL形式(例)】
売上高(見込み)
売上原価(見込み)
粗利(自動計算)
販管費(見込み)
営業利益(見込み)
この形に落とし込むことで、「現在の進捗 → 期末の利益」が明快に可視化されます。
PL連動ができると、何が変わるのか?
① 上司・役員との会話が“別物”になる
経営層は利益を中心に判断しています。
PLと接続した説明ができると、「この施策の利益インパクトは?」という問いに短時間で答えられます。
② 優先順位が正しくなる
現場KPIは膨大にありますが、PLにつながるものは一握りです。
PL連動の視点を持つと、「上げるべき指標」「捨てる指標」が自然と見えてきます。
③ 企画・マネジメントの精度が上がる
PLとの連動は、あなた自身の企画力・説明力・戦略思考を一段押し上げます。
Gridder式:PL連動のテンプレ構造(無料公開)
次回の記事では、より実務で使えるように、
- PL連動ダッシュボード(Excel)
- KPI → PL変換ロジック表
- 利益インパクト分析テンプレ
をまとめたテンプレートセットを配布予定です。
あなたの現場データが、経営資料につながる“太い線”になる瞬間を一緒に作っていきます。
Gridderとしての考え方
PLとの連動は、能力ではなく “構造” です。
構造がつながれば、誰でも経営的な視点を持てます。
つまずきは、成果の入口だ。
日々の数字の積み上げが、やがて事業全体を動かす力になる。
シリーズ完結と次の挑戦へ
七段活用シリーズはここで一区切りですが、Gridderの成長は続きます。
次は 「Excel × AI × 実務改善」 の発信を軸に、新しいシリーズを公開していきます。
これからも、登り続けるあなたを応援します。
Gridder — つまずきは、成果の入口だ。
カテゴリー: Excel実務
タグ: PL連動, 経営指標, KPI変換, ダッシュボード, 業務改善


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